【コラム】好きに囲まれた世界で

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ただ、漠然とスポーツ観戦が好きだった。もちろんプレイヤーとして続けてきたこれまでの中高の6年間も本気で楽しく取り組めたし、決して充実したプレイヤー人生とは言えなかったが不思議と悔いは残っていない。高校の部活を引退しオフになると受験勉強そっちのけで観戦に足を運び、大きな国際試合があると、種目に関わらずテレビにかじりついていた。また、私は文が大好きだ。文とは小説や評論、記事とジャンルは問わない。時には自分で文を書くこともしていた。何か辛いことが起きた時、私を慰めてくれたのもスポーツと文学だった。

大学受験期、私は第一志望を諦めるという失敗を犯す。その時も春の智辯学園対高松商業の試合を三塁アルプス付近で観戦し、その熱気に触れることで私は前を向くことができた。その後、関西大学に入学。マスコミ系に興味を抱いていたこともあり、関大スポーツの扉を叩いてみることに決めた。しかし、はじめは正直興味はあるが入部することはないだろうと考えていた。その後、様々なサークルや学術研究会を訪れはしてみたが、いまいちどれもピンと来なかった。そしてこのとき自分がスポーツを発信していく仕事に今まで支えられており、その道に進みたいのだと確信した。

そして、カンスポに入部。様々な取材に同行させてもらい、時にはインタビューをし、記事を書き、写真を撮る。その一つ一つが新鮮で楽しいと感じる。家が遠いこともあり、辛いと感じたこともあったが、それでもやめようとは思わない。なぜ何故なのだろうか、と考えてみると、この部活こそ私の「好き」を凝縮した世界であるからなのだと最近気づいた。スポーツという大好きなものを追い、一人一人の選手に眠る物語を掘り下げ、それを自らの言葉で表現する。これほどに自分のためにある仕事はないのではないだろうか。そのように感じて、記者という仕事が憧れから目標に変わった。

記者――私の支えとなり目標となってくれた仕事。次は私がこの仕事に全力を尽くす。選手の夢を発信し、誰かの支えとなれるような存在に成長していきたい。【多田知生】