【コラム】一葉に変わるとき ~願いを込めて~

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あなたには、いつも離さず持っておきたいという写真がありますか。そのような写真を数える時に一枚ではなく、もっとぴったりな数え方がある。それは一葉(いちよう)だ。“葉”とは、木の葉のように小さく手のひらに置けることから、手のひらにずっと持っておきたいという意味が込められる数え方だそうだ。

カンスポに入部したての頃、一眼レフを人生で初めて手にした私は、写真の良し悪しなど考える余地もなかった。ただ無我夢中(むがむちゅう)に彼らを追いかけ、がむしゃらにシャッターを切っていただけだった。

私の撮る写真は、一瞬の切り取りにしか過ぎない。しかし、その写真の裏側にはたくさんのドラマが詰まっている。けがに苦しんだり、思うような結果が出せず涙したり、夢を諦めかけた時だってあっただろう。一緒に汗を流したチームメイトや共に涙した仲間、どんな時も応援してくれた家族、支えてくれた人たちへの想いを胸に、たくさんの苦難を乗り越え必死に戦っている。そんな輝いている瞬間の一コマなのだ。

今の私は、レンズ越しに見る彼らの雄姿の一瞬一瞬に愛おしさを覚える。そして、いつも決まって虜(とりこ)になってしまうのだ。

戦い続ける限り、また試練が訪れることもあるだろう。そんな時には思い出してほしい、ピッチの芝生の感触、雲一つない空、あなたを支えてくれた人たちのことを。信じていてほしい、あなた自身のことを。そして、決して諦めずに歩み続けてほしい。一枚の写真が「一葉」に変わる瞬間。どうか、その写真が彼らの背中を押してくれますように。そんな願いを込めて、今日も私はシャッターを切る。【髙橋周】