【野球】延長に及ぶ接戦制し、いよいよ神宮決勝へ

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◇第五十回記念明治神宮大会準決勝◇対東海大◇11月19日◇明治神宮野球場◇

関大300 000 300 2=8
東海200 110 011 1=7

(関)巻、鷲尾昂、肥後、高野、森翔-久保田拓、林大
(東)村上、高杉、原田、宮路、松山-海野

1(中)安藤大
2(三)関本
3(一)上神
4(遊)野口
5(左)吉川
6(捕)久保田拓
7(右)倉川
8(二)坂之下
9(投)巻

取っては取られてのシーソーゲーム。どちらが勝ってもおかしくない展開で、最後に勝利の女神を振り向かせたのは関大だった。執念を見せたナインは、見事決勝進出を決め、47年ぶりの神宮優勝まであと1つとした。

先発マウンドを任されたのは、大学公式戦初登板の巻大地(商2)。「半端なく緊張した。緊張で固まった。反面、やっぱり嬉しい」。いきなりの大役に緊張をのぞかせながらも、思い切り左腕を振った。

下級生ピッチャーを助けるために、関大打線も奮起。初回、1番安藤大一郎(経2)、2番関本英実(政策4)の連続ヒットですぐにチャンスをつくると、4番野口智哉(人2)が右翼線への大きな当たりを放ってまずは2点。さらに、5番吉川周佑(経3)がスクイズを成功させ、いきなり3点を獲得した。


△安藤大


△関本


△野口


△吉川

しかし、東海打線も黙ってはいない。四球とヒットで許したランナーを、5番小松の特大の三塁打で返され、2失点。1点差に詰め寄られるが、何とかリードを守った巻は3回をもって降板した。

4回からは、ルーキーの鷲尾昂哉(経1)がマウンドへ向かうが、四球で歩かせたランナーをタイムリーで返され同点に。さらに5回、9番竹内に初球を捉えられると、レフト方向へのホームランに。ついに逆転を許した。


△鷲尾昂

なんとしても巻き返したい関大だが、5回表に1死満塁の絶好機で5番吉川と6番久保田拓真(社2)が連続三振で打ち取られるなど、決定打が出ない。


△久保田拓


△吉川

スタンドから送られる大声援に応えたのは、7回のことだった。この回先頭の関本がヒットで出塁したのを皮切りに打線がつながり、1死満塁。そして打席には、5回に三振で倒れた久保田拓。3球で追い込まれると、振り抜いた4球目は右中間へと伸びていく。「『もう無理だ』と思ったが、打つしかないなと思っていたら打てた」。走者一掃の適時二塁打を放った久保田拓は塁上で大きくガッツポーズを見せ、チームの勝ち越しに声を上げて喜んだ。


△久保田拓

6-4で再びリードしたが、東海大はやはり強かった。6回から登板の肥後皓介(人4)が終盤の8回に得点圏にランナーを背負うと、犠牲フライで失点。またも1点差に追い込まれてしまう。


△肥後

ゲームの行方が分からないまま、6-5で最終回を迎えると、関大のマウンドには神宮初登板の高野脩汰(商3)の姿が。チームをリーグ優勝に導いた功労者がついに聖地の舞台に立つと、スタンドもいっそう盛り上がりを見せる。

しかし、いつもの左腕は本調子ではなかった。「変化球が全然入らなかった」。ボール先行のピッチングで四球を与えると、連続盗塁で三塁まで進まれる。なんとしても抑えなければいけない緊迫した場面だったが、高野が投じた球はまさかのタイムリーに。なんとかサヨナラは阻止したものの、「自滅してしまった」と、ベンチに戻る高野の表情は暗かった。

運命の延長10回。今大会の延長戦は、走者一、二塁のタイブレーク制で行われる。この回先頭の倉川竜之介(文4)が三振で倒れると、打席が回ってきたのは坂之下晴人(人2)。この日無安打の今季絶好調男は、やはり勝負強かった。粘った5球目を捉えると、左方向へと上がり、その間にランナーの里泰成(情4)がホームイン。勝ち越しに成功する。「1回の野口のタイムリーと、7回の久保田のタイムリーがあったから、最後に俺がタイムリーを打てたと思う」と、同期の活躍が奮わせた。


△坂之下


△里

チャンスは終わらない。代打の原拓海(法4)が申告敬遠で塁に出ると、2死満塁に。すると、1番安藤大が右手に死球を受け、押し出しという意外な形で大きな2点目を獲得した。


△安藤大

一打サヨナラの緊張感が漂う中、10回裏にコールされたのは森翔平(商4)。昨日の初戦で133球を投げ抜いた左腕は、この日もチームに勝利をもたらすためにマウンドに立った。「ここまで来たらやるしかない」。不調に苦しむ高野と、復活を遂げた肥後の思いを背負って、一球一球を全力で投じる。投ゴロと三振で2死に追い込んだが、関大もまた申告敬遠で満塁とすると、6番植村にタイムリーを許して8-7に。


△途中出場の林大智(人3)

最後は祈るしかなかった。森コールがスタンドに響き渡る中、200人の部員の思いを受けて森翔は最終打者を迎える。2死満塁で、打たれれば東海大のサヨナラ勝ち、抑えれば関大の粘り勝ちが決まる。そして投じた1球目。バットに当たった打球は、遊撃手・野口がさばいて一塁へ送球され、判定はアウト。その瞬間、ベンチからメンバーたちが歓声を上げて飛び出した。

最後まで結末の分からない接戦を、なんとか逃げ切って勝利した。「誰も諦めていなかった。その気持ちが伝わったんだと思う」と、松島恒陽主将(人4)もホッとした表情で胸をなで下ろす。春リーグは4位に沈んだが、ついに神宮決勝まで上り詰めた。勝っても負けても、次がこのチームにとって最後のゲーム。「あとは気合いと根性。明日勝たないと意味がない」と、森翔。「どんなことが起きても攻め続ける」と、主将も既に翌日の決勝戦を見つめている。迎え撃つのは、ドラフト指名選手を4名擁する強豪・慶応大。猛打で、力投で、応援で、必ず日本一となってみせる。【文:松山奈央/写真:松山奈央、高木満里絵、中西愛】

▼早瀬万豊監督
「追いつかれてのタイブレークで嫌な感じはあったが、タイブレークの練習もしていたし開き直ってやろうと。ここのところは誰かがダメでも誰かがカバーするというような試合展開で秋からやってきていた。今日は坂之下がつないでくれたり。春のリーグでは1点差の負けが多くて競り合いに勝てなかった。終盤のミスも多かった。修正して秋に臨んだ。形になるか不安はあったがたくましく、粘り強くやってくれた。途切れそうになった時も繋いでくれたしそれは守備面でもそう。(肥後から高野への継投は)肥後はまだ復帰したばかり。ロングイニングはいっぱいいっぱいで本人の意志もあった。無理に投げさせても危険な状態になるし、今日勝てば明日少しでも投げられると思って(変えた)。森も投げられるということでブルペンで準備していた。低めに集まる森らしいピッチングができていたと思う。(先発は)朝までとても悩んだ。巻にした決め手は、左に対して低めで攻めてタイミングを外していけば打たれづらい。抑えてくれるかと。今日は2アウトから崩れた場面もあって上ずっていた。修正できなかったのは課題。明日の先発も悩むが、粘り強く決めたい。(明日は)慶應。やりたいと思っていた。イメージとしてはピッチャーの球も速く、バッターは強打者。今のチームとしては戦ったことはない。でもこちらも粘り強く総力戦でいけば勝てる。今日は全員でつなげたのが勝因。レベルの高い神宮大会で決勝まで行けることは素晴らしいこと」

▼松島恒主将
「本当に危なかったが、勢いに上手く乗っていけた。底力を出せた結果だと思う。『とにかく粘れ。攻め続けよう』と言い続けた。誰も諦めていなかった。その気持ちが伝わったんだと思う。東海大は強かったが、いつも通りやればいける。必死に食らい付いていけた。この大会は一戦一戦大事に戦っていたら、いつの間にか決勝に来ていたという感じ。春リーグは4位で弱い弱いと言われてきたチームが、結局神宮の決勝まで来れたのは感慨深い。自分が主将の代にここまで来れたことに驚いている。色々あったが、一日一日大切に野球をしてきたから、野球の神様が向いてくれたのかな。みんな勝って終わりたいと思っているから、もう明日の準備に入っているはず。どんなことが起きても攻め続ける」

▼巻
「半端なく緊張した。最近は調子が良かったので(先発は)もしかしたらあるかなと思っていたけど、緊張で固まった。反面、やっぱり嬉しい。神宮で初先発。光栄なこと。はじめはやばいな、という気持ちが強かったけどだんだんと嬉しさが大きくなった。試合前は本当に緊張でいっぱいだった。(イメージしていたピッチングは)最近はスピードはあまり。コントロールは良くなってきていたので三振を取ると言うよりも打たせて取るイメージで。実際マウンドに立って、初回高めで打たれてしまった。ガチガチだった。(神宮の舞台は)神宮に来たのが初めてで、正面の観客が視界に入った。自分に精一杯で応援の声はあまり聞こえなかったが、多くの応援があって本当にありがたいこと。(2年生として)ピッチャーは3,4回生頼りなところがあった。自分はつなぎというのは分かっていたが大事な場面で出させてもらえていろんな人に感謝の気持ち。先発は春のチャレンジリーグ以来なので約半年ぶり。(高校の頃は)先発もあったが、高3の夏は中継ぎが多かった。(今日の試合は)最後森さんが抑えたところはやはりすごい人だなと思わせられた。昨日も投げていて疲労があるのに。ブルペンの横でピッチャー同士で話したりすることはある。今日は特に、緊張するなよと(アドバイス)。(明日は)関東はスイングがすごくてバッティングが強い印象。慶應は投げてもすごいが明日はサポート面をしっかりやって、一生懸命頑張りたい」

▼肥後
「今日は気持ちがすごく入った。ピンチの場面で久々に飛ばしすぎて、疲れてしまった。達成度は70㌫くらい。調子は上がってきている。3イニングは、ここ最近で一番長く投げた。(植村、串畑との)広陵対決は楽しかった。同期だし、地元も一緒だし、部屋も一緒だった。抑えれて気持ち良かった。決勝は、森が完封してくれるのが一番いいが、何かあったら自分がいくつもりで」

▼高野
「ストレートは投げれたが、変化球が全然入らなかった。『誰が先発でも準備をしとけ』と監督からも言われていて、みんな気持ちはつくっていた。巻の先発は確かに驚いたが、誰がいく予定でもあったし、巻は逆転されずにつないでくれて良かった。先に点は取りたいと話していて、言葉通り取れたのは大きかった。相手も継投で来るのは分かっていたし、あまりストライクも入っていなかったから、関大らしくつなぐことができた。自分は本当はそのまま続投したかったが、点を取られてメンタルも落ち込んでいた。出したランナーもフォアボールだったし、逆転されなかっただけマシだったのかな。緊張はめちゃくちゃあった。リーグ3戦目より緊張してたし、リーグとは全然違う緊張だった。みんな応援に東京まで来てくれているし、負けたら申し訳ない気持ちもあった。立ちたいと思っていた神宮に立てて良かった。欲を言えば抑えたかったが、この不完全燃焼を来年に生かしたい」

▼森翔
「今日は登板予定はなく、(9回に)高野が追い付かれてから急遽つくった。まだ肩は張っていたが、ここまできたらやるしかないと思って。1点取られた時は焦った。2点取ってくれていて本当に良かった。リリーフは、今秋の近大2回戦ぶり。リリーフの方が気持ちははいるが、先発の時も後のことを考えたらだめなので、後先考えずに全力で投げている。まさかまさか、ここまで来れるとは。スタンドもすごいし、本当にみんなのおかげ。肥後ちゃんのピッチングもすごかったし、高野が打たれた時は『高野で負けてもしょうがない』と思っていたが、なんとか抑えてくれた。高野がいなかったらリーグでも立命に勝てていなかったし、ここまで来れていない。みんなで助け合って来れた。2人の思いを背負ってマウンドに向かった。今日は緊張も全然なくて、抑えることだけを考えていた。あとは気合いと根性。全力でいくしかない。ベンチもスタンドも一丸突破で。明日勝たないと意味がない」

▼野口
「全国の決勝という舞台は自分自身初。ここまできたら、応援してくれている人、とくに4回生のような人たちのためにも、最後まで全力プレーを貫抜きたい。(慶応大について)しっかり自分たちの野球をやっている。レベルが高い。自分のプレーをすることが一番大事になってくる。よそ行きのプレーをしてしまうと、うまくいかないこともある。自分たちの野球を徹底して、最後まで全力で。(4年生は最後となるが?)本当にここまで支えてくれたのは4回生。ベンチでもシーンとなっていたら声を出してくれる。スタンドの応援も4回生が中心となって声を出してくれている。最後は感謝の気持ちを前面に出せるように準備していきたい」

▼久保田拓
「勝ててよかった。巻は先発型じゃない中、がんばってくれてすごかった。初回も2失点と粘ってくれた。調子的には良かった。終盤勝負で。夏のオープン戦でずっとそれを言ってきていたから、逆転されても点差だけは絶対離されないように、というのを心がけた。(7回の適時打について)打てる気はしていなかった。前の打席はチャンスで三振。仕留めた打球の前のボールでストライクを見逃した。その瞬間に『もう無理だ』と思ったが、打つしかないなと思っていたら打てた。4回生に対しては、のびのびやらせてもらっているし、変に小さくなるのではなく、自分のプレーだったり、自分たちの野球だったりをしようと心がけていた。それがいい方向に向いて良かったと思うし、1番長い期間4回生と試合できるのはうれしい。(決勝に向けて)去年のちょうど今頃新チームが始まり、全国制覇という目標を掲げて。春は苦しい思いをしたが、そのおかげで強くなって、こうして決勝までいれる。正直優勝しないと意味がない。絶対優勝しないといけない。(自分の役割は?)まずは、打撃ではなく、ピッチャーの持ち味をMAXに引き出していきたい。下級生で出させてもらっている以上、勝たなくてはいけない」

▼坂之下
「体力を使った。一球一球で切り抜けられなかったから、スタミナを使った。今日負けるのと勝つのでは全然違う。簡単に負けられない戦いだった。関大の名誉もかかっている。絶対勝たなくてはいけないという思いが強かった。(初回から厳しい戦いだったが?)1回に3点を取った時点でも、いけるとは思ってなかった。接戦になるのはわかっていた。巻が2点を取られてもびっくりしなかった。森さんが投げても、肥後さんが投げても、2点3点取られていても気にしなかった。1回表で点を取れて勢いに乗れるし。2点取られても全然OK、3点取られても振り出しだと。開き直れる。2点でラッキーだったと思った。(4回に)同点に追いつかれたのは俺のせいだと思っている。ここで俺がバントを失敗して点が取れなかったから相手に流れが行ってしまった。だから、『なんとかして塁に出よう』と、それ以降の打席は思っていた。力が入ってしまって、その後の2打席はフライとゴロになってしまった。(7回の逆転について)ずっと逆転できる雰囲気だったが、このとき久保田は打つと思った。雰囲気。1回の野口のタイムリーと、この回の久保田のタイムリーがあったから、最後に俺がタイムリーを打てたと思う(9回、延長戦と)しんどかった。でも、10回裏、守備側からしたら2点を表に取っていて、一塁ランナーに変えられても良かった。それでも同点が怖かった。サヨナラは怖かった。(決勝戦は慶応大とだが?)楽しみ。楽しみだが、あまり意識しないでおこうと思っている。プロに行く選手が4人いるが、飛び抜けてうまいわけじゃないと思う。(4回生は最後の試合となるが?)さみしい。さみしいが、優勝して引退できたら最高だと思う。優勝させてあげたい。今日も試合終わった後、肥後さんが泣いているのを見て泣いてしまった。勝てないことはない。最初から勝てないと言っていたら、試合をやる意味がない。決勝で勝つのと負けるのとでは天と地の差。50回記念大会で優勝『関西大学』と一生名前が残る。けど、準優勝は名前が残らない。それでは意味がない。今の関大なら優勝できる」