【コラム】今日もスポーツと共に

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2013年8月19日。高校に居場所を失った私は、甲子園球場のバックネット裏にいた。学校という存在に嫌気がさし、制服を脱ぐ決意をした高校2年の夏。小学1年から続けた野球も辞め、行くあてのなかった私を救ったのは、夢舞台で全力を尽くす同世代の球児だった。

酷暑となった野球の聖地では、準々決勝4試合が行われ、全試合が1点差決着となる手に汗握る展開が続いた。その中でも、特に忘れられないシーンがある。

第3試合、前橋育英高と常総学院の対戦。九回表を終え、2-0と常総学院がリードし、準決勝進出は目前だった。しかし、35度を超える猛暑が完封間近のエースを襲う。右太ももの張りを訴えた飯田投手は、投球練習を終えた場面で熱中症の疑いもありベンチ裏へ。大きな拍手に迎えられマウンドへと戻るが、先頭打者に2球を投じたところで力尽き無念の降板。急きょ後を受けた金子投手は九回2死から同点打を浴びると、十回には前橋育英高の土谷選手にサヨナラ打を許してしまう。責任を感じ呆然とする金子投手と涙を流す仲間の姿。後アウト一つからの逆転劇に、悲運のエースは「みんなを勝たせられなくて悔しい」と熱い思いをこらえきれなかった。

この日、ただ応援することしかできなかった私は、『このままではいけない』と感じたことを今でも鮮明に覚えている。

その後、紆余曲折ありながらも関大にたどり着いた私は、カンスポという新たな居場所を得た。バッターボックスに立つことを自ら放棄した高校2年の夏からは考えられない世界がそこには広がっている。本気になって戦う選手と同じ目線に立って行う広報としての活動。決して楽なことばかりではないが、何もできない苦しみを考えると乗り越えられる。そして、私を救ってくれたスポーツの可能性を常に肌で感じることができる。さらに、プロスポーツチームのマネジメントに携わりたいという大きな夢ができた。45のスポーツのそばで、日々成長中だ。

汚れたユニフォームを洗えなくなったと寂しがっていた母、幼少期から野球を教えてくれた父。2人の思いとは裏腹な人生を歩んできたかもしれない。だが、今や私の書く記事の1番のファンでいてくれる。少しでも期待してくれる人がいる限り、向上心を持って関西大学体育会に貢献しなければならない使命感がある。

今日も愛してやまないスポーツと共に。まだ見ぬ歓喜と感動のその先へ。最高のチームの一員として、この言葉を口にする時が来るまで。「1番すごいのはKAISERS」。あきらめない心を教えてくれたあの夏の日を胸に、カンスポの記者として魂を燃やす意気だ。【嶋健太朗】