【コラム】KAISERSの一番近くで

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • mixiチェック

1年間編集長を務め、カンスポでの3年間の話は関大スポーツ最新号の「変化球」で出し切った感はあるが、違う角度から最後のコラムを書きたいと思う。

学生記者として、残り半年を切った頃、初対面の大人から質問をされた。「毎回毎回、生で試合見る必要ある?動画で見て記事を書くのはダメなん?」その方にカンスポの活動を説明したところ、毎週末の取材は過酷だと思われたのか、この疑問が生まれたらしい。「あります、ダメです」。私の説明不足なのかもしれないが、少し馬鹿にされたような気がして、内心イラッとしながら答えた。

試合場で試合中に行われていることだけを見ているわけではない。実際に生で近くで試合を見ると、いろんな発見がある。チームは勝利しても個人的には満足していなさそうな選手の表情。応援や仲間たちの熱量や会場の雰囲気、風、気温は体感してみないと自分の言葉で記事にできない。試合直後に受けていただけるインタビューはさらに貴重だ。話すトーンや雰囲気で何かいつもと違うと感じ取れることもある。(声を聞いて、急に「風邪気味ですか?」と質問したら少し引かれたこともあった…)絶対に生で、私の目で見て、耳で聞かなければ学生記者として発信できないことがあると、信じていたからだ。
 もしも選手に、「毎回来る必要ないやん」と思われていたら。文章力やインタビュー力、まだまだ足りないことは自覚していた。あの質問をされてから急に不安になったのも事実だ。「学生だからこそできること」を探すと同時に「毎回取材する私にしかできないこと」がしなければカンスポの存在意義はない。残り半年を切って、改めて気を引き締めた。

先月、思いがけないサプライズがあった。3年間担当したサッカー部に選手からのメッセージが書かれたユニフォームをいただいた。驚きと感動で、もらった時の記憶があまりない。何度メッセージを読み返したことか。ほんの少し、ほんの少しでも、カンスポの存在を認めてもらえた気がして、うれしくてたまらなかった。サッカー部には感謝してもしきれない。
 
気づいたことや感じ取った部の魅力を、記事や広報という形で外に発信するのが私たちの役目だ。加えて、同じ「KAISERS」を名乗らせてもらっている以上、微力ながらも部の勝利に貢献し、必要とされなければならない。私は担当部に必要とされているだろうか?と、考えることもあった。そんな時は、「めっちゃ知ってくれてますね」や「次も来てくれますか?」など、何気ない選手の一言や感謝の言葉が私を前に向かせてくれていた。

思い返せば思い返すほどいろんな思い出が溢れ出し、いかに充実した学生記者生活だったかがわかる。3年間、KAISERSの涙も汗も、喜びも悔しさも一番近くで見続けられた私は本当に恵まれていた。引退した今、改めてこの幸せを噛み締めている。【西井奈帆】