【コラム】学生アスリートの一瞬を追い掛けて

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学生アスリートが明日勝つために必要な、あとほんの少しの勇気と自信を持ってもらえるような報道を。生意気ながら、そんな信念を胸に学生記者人生を駆け抜けた。

私の原点となった試合がある。平成28年度関西学生バスケットボールリーグ戦2次リーグ第3節。ここまで11連敗と泥沼で苦しんでいたバスケットボール部が、ホームで残り2秒の逆転劇を演じ、1点差で立命大を下した試合だ。勝利が決まった瞬間、初めてカメラを構える手が震えた。歓喜に沸くスタンド、抱えてきたものが溢れ出し涙する選手たち。今まで何となくカメラを構え、何となくメモを取ってきた私は、その瞬間、霧が晴れるようにいろいろなことに気が付いた。

勝利は貴重なものだ。その瞬間に自分が立ち会えるのはもっと貴重なことだ。関大の学生アスリートが関大のユニフォームを着てくれるのはたった4年間しかない。その間の貴重な勝利、その一瞬をカメラに収め、選手たちの声を記録することは「何となく」ではできない。カメラを向ける位置1つで、残る景色は変わる。メモ1つで、記事の内容が全部変わるかもしれない。一方で、負けて悔しい時、言いようのないほど苦しい時でもカンスポに言葉を残してくれる責任の重さを感じた。学生アスリートの一瞬とどう向き合うか。それを考えるきっかけとなったこの日、私は初めて学生記者としての一歩を踏み出せたと思う。

時には報道の常識に背いても、100%選手のために。取材対象である選手たちを読み手として最重要視した私の活動は「報道」とは言い難いのかもしれないが、会社の指示ではなく、自分の意志だけでどんな現場にだって飛んでいけるのが学生記者である。学生報道に正解はない。そして、選手たちの1つの勝利がまた、次の1本を書くために必要なほんの少しの勇気と自信を私に与えてくれていた。【宮西美紅】