【コラム】ボトムアップ 究極の選手主導

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「ボトムアップ」という言葉を知っているだろうか。「ボトムアップ」とは、下部から上層部への発議で意思決定が行われる管理方式のことを指す。この理論を提唱したのが、現在、広島県立安芸南高でサッカー部の監督を務める畑喜美夫氏だ。畑氏はこの手法を用いて、1996年から監督を務めていた広島県立広島観音高を2006年、インターハイ優勝に導いている。選手登録、スタメン、システム、練習メニュー、選手交代などの決定を、監督ではなく選手が話し合って決定。従来の、指導者の指示に選手が従うスタイルとは大きく異なっている。

究極の選手主導とも言えるこの「ボトムアップ」。私がマネージャーとして高校時代所属していた野球部でもこの手法は導入され、毎日の練習メニューを部員たちで考案していた。週末に行われる練習試合の後にミーティングを行い、課題を全員で共有。その課題をもとに、どんな練習が必要かを考え、1週間の練習計画を話し合って決定した。監督やコーチなどの大人に任せずに自分たちで考えることは、決して容易ではない。しかし、部員自ら課題に気付くことで成長でき、チームとしての方向性を自分たちで煮詰めることもできた。「ボトムアップ」で強くなったチームは、2016年春に聖地・甲子園の土を踏むこととなった。

スポーツ界ではここ最近、指導者による体罰・パワハラが問題視されている。そのような指導は「ボトムアップ」とは正反対の「トップダウン」によるものであり、勝利至上主義の結果ではないだろうか。スポーツをする目的は人それぞれだが、勝つことだけが全てではなく、人間形成をすることも大切だ。自分たちで考え、行動する。「ボトムアップ」は、人間力が磨かれるとともに、真の選手が主役である指導方法だと私は考える。【中西愛】