【ATルーム学生トレーナー部】ATルーム、仕事の流儀

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3月中旬に慣れ親しんだ凱風館2階から東体育館1階へと移転したATルーム。今回は、そのATルームを支えるトレーナーの春木佳さんと学生トレーナーの野口美咲さん(経2)にインタビューを敢行し、KAISERSを支える仕事の全貌を教えてもらいました!

まず初めに話を伺ったのは、ATルーム常駐のトレーナーであり監督の役割を務める春木佳さんです。

――初めに、ATルームの仕事内容を教えてください。
春木 体育会の学生を対象とした、安全と健康を担っている存在です。ATルームでの選手対応では、応急処置や救急対応、アスレチックリハビリテーション、コンディショニング、ケアであったり予防が一つになります。あとは、学生トレーナーの育成の部分で監督として指導をしています。さらに、帯同要請と育成要請もやっていて、トレーナーに来てほしいクラブに対して帯同するのと、クラブに専属でいる学生のトレーナーに対して、AT部の学生に私が教えて、AT部から各部に教えるシステムを作っています。体育会全体の安全対策で講習会を開いていて、指導者にも講習会をしたり、雷対策など全体的な安全対策をしています。

――学生トレーナーに関してはどういう指導をしていますか。
春木 学生トレーナーに関しては頑張っているなと思います。常に「私と学生の間に学生トレーナーがいるのではない」と話しています。1人のトレーナーとして、1人の人間として成長していってほしいと思っています。私の方が経験や知識があるべきであり、学生トレーナーに負けない勉強をしないといけないと思っていますが、学生トレーナーが常に私の下ではなく、学生自身が勉強して新しい目線で情報共有をしていきたいと思っています。あと、人を思いやる気持ちを持ってほしいと思います。選手がどうしたらいいパフォーマンスをできるかと一緒に悩んであげたり、選手が自分の体をよく知り自立できるように促してほしいですね。トレーナーと選手とのスタンスも考えてもらって、友達になるのではなく、この場所では1人のトレーナーとして接してもらうようにしています。そして、チームとしてトレーナにはコミュニケーション能力がすごく必要になってくると思っています。

――関大のATルームの強みとはどこですか。
春木 学生トレーナーのモチベーションだと思います。他の大学の人から「学生はプロのトレーナーにならないんですか」って聞かれるんですが、ほとんどならないです。専門学校の学生はトレーナーになるために勉強していますが、関大のATルームの学生は「好きだから」ここにいるんですよね。課外活動として4年間全うしたいという思いが強いと思います。そこが自分の自慢でもありますね。学生主体で考えて運営もしてくれています。

――凱風館から東体育館に移動してどうですか。
春木 今回の移動は2階から1階にするということが1番大きな目的でした。これまでは足をけがして車いすの子は来れないし、松葉づえの子はすごく大変でした。最近、救急があって、扉を開けたらタクシーがいて、救急の対応もスムーズになりました。けがした子のアクセスも良くなったとも思います。実際の面積はそんなに変わっていないです。あと、ガラス張りにしたのはできるだけ光を入れたいという思いで作ってもらいました。けがをして落ち込んでいる子たちに閉鎖的にしないで、心も体も試合に向かっていける空間にしたいなとも思いました。

――ATルームを利用する選手に求めることはありますか。
春木 自分の体と心と対話してほしいですね。同じけがをして苦しんでいる子たちがいろんな部で集うので、相談したりするのもここのいいとこだと思います。心のケアもここはやっています。ストレッチなどのこちらの引き出しに対して、「やりませんでした」というのはやめてほしいですね。自分の体としっかりと対話して自分に合ったケアの方法を探ってもらって、自己管理ができるようになってもらいたいです。理想としては、選手がATルームに来なくても自分の体をケアできるように導いていきたいですね。

――今後、ATルームをどのように成長させていきたいですか。
春木 今はKAISERSへのサービス強化をメインにしていて、各部に必ず1人は適切な知識を持って対応できる人がいてほしいです。大きな事故なく安心してプレーできる環境を作りたいのと、指導者の人にも理解してもらいたいと思っています。また、KAISERSだけでなく地域の皆さんにもこういった知識を還元していって、系列校の子どもたちにも予防を広めていけたらなと思っています。そうすることで、大学に来た時点で体がボロボロな状態な選手も減り、最終的にはKAISERSの発展につながっていくんじゃないかなと思っています。

続いて、学生トレーナーを務めている野口美咲さんに話を聞きました。

――ATルーム学生トレーナー部に入部した経緯を教えてください。
野口 高校の時にラグビー部のマネージャーをしていて、「ここ痛い」と言われても何もできないのがもどかしくて、悔しかったです。大学でもラグビー部のマネージャーをしようと思っていたのですが、プロのトレーナーもいるATで勉強させてもらおうと思って入部しました。

――ハンドボール部女子の帯同に行っていると伺ったのですが、帯同の仕事内容を教えてください。
野口 今からリーグ戦が始まるので、試合の日も含めて週2、3日帯同に行っています。現場のトレーナーとして選手の状態を聞いて、その選手が練習に入れるかどうかなどできる限りの評価をして監督さんや春木さんに相談をします。「痛い」ってことを言ってくれない選手もいるので、しっかりとコミュニケーションを取って判断できるように心掛けています。どれだけ選手と仲良くなっても、トレーナーである以上は1選手と1トレーナーとしての距離感をしっかりと保って冷静な判断をするようにしています。試合中は選手と同じ気持ちになって戦うので、勝った時のうれしさは何事にも代えられないですね。

――ATルーム内での仕事内容はどういったものですか。
野口 ここに来る選手はけがをしている選手がほとんどなので、問診をして視診、触診をして自分ができる限りの評価をして、その選手が今日何をするべきかのベストなケアをトレーナーさんと考えるようにしています。同じけがによっても選手によって全く違うので、ストレッチであったり超音波などその人に合ったケアをするようにしています。

――普段の仕事内容は大変じゃないですか。
野口 確かに大変ですね(笑)。それでも、体育会の選手が毎日夜遅くまで練習しているのが素直にすごいなと思います。けがもあるのに、リハビリでATに毎日通って自分の体と向き合っている姿を見ていたら、自分たちがしんどいと思えなくて。弱音を吐くわけにいかないし、こんなすごい選手たちを支えられる立場にいるのが誇りに思います。本格的な環境でやらせてもらっているので、本当に感謝の気持ちを持って活動しています。

――トレーナーをしていて成長した部分はどこですか。
野口 トレーナーをしていると、けがした選手に問診をします。その時に、その選手の問題点がどこにあってどういった改善策をするべきか考えるのが大事になってきます。その考え方の順序であったり、論理的に考えることなどは日常生活にも生かされていると思います。

――今後ATルームをどのように発展させていきたいですか。
野口 最終目標が「KAISERSにとってなくてはならない場所にする」というものがあるので、今は使ってくれていない部活もあるので積極的に45クラブに発信していきたいです。微力かもしれないですけど、関大の勝利に貢献できるようにしていきたいなと思います。関大だけにとどまるのではなく、地域のスポーツをしている子供たちにも影響を与えられように大きくしていきたいです。ATをもっと知ってもらいたいですね。

――ご自身の今後のビジョンを教えてください。
野口 今は学生トレーナーですけど、将来はプロのトレーナーになるくらいの気持ちで、KAISERSで一番のトレーナーになりたいです。

忙しいにもかかわらず快くインタビューに応じてくださった春木さんと野口さん。関大の体育会学生を支える矜持が言葉の端々から感じられました。今後もATルームはKAISERSにとってなくてはならない存在として勝利に貢献し続けます。【取材・構成=嶋健太朗/写真:西井奈帆】