【アイススケート】宮原が記者会見に出席。心境を語る

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◇関西大学アイススケート部宮原知子選手記者会見◇1月18日◇関西大学BIGホール100◇

来月行われる第23回オリンピック冬季大会平昌大会に出場する宮原知子(文2)が記者会見で五輪への思いなどについて語った。会見には、芝井敬司学長や織田信成アイススケート部監督、長年宮原を指導してきた濱田美栄コーチも出席した。

【記者会見】
芝井学長 本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。本学から文学部2年生の宮原知子さんが平昌のオリンピックに出場することになりまして、大変光栄であって、また誇りに思っております。是非、日ごろの練習の成果を存分に発揮していただきまして、私たちに朗報を届けていただきたいと心から祈念しております。彼女は1年間ほどけがで実際の試合に出ることができなかったどころか、存分に練習をすることもかなわない時間が続いていたんですけれど、それを乗り越えて今回出場してくれることを心からうれしく思っています。けがをすることで、なかなか思わしい形で、思いは強いですけれど結果を伴うことができないということは人生で多いことだと思います。それを今回乗り越えて平昌に行ってくれることを大変貴重なことだと思っていますし、是非力を発揮してほしいなと思います。もう1つですけれども、全日本のときに、彼女がほとんどパーフェクトな形で演技をしたあと、テレビの画面では濱田コーチが大写しになっていまして、天を仰ぐようにしながら、手で顔を抑えて泣いておられて、私にとってはすごく印象的でした。宮原さんにお願いがあるんですけれど、是非平昌でも、もう一度濱田コーチを泣かせてください。期待しています。


△芝井学長

宮原 本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。昨年末の全日本選手権が終了して、体をまず休養させることを重要視して、年末年始はゆっくりと過ごしました。新年明けてからまた新たな気持ちで少しずつ練習量も増やしながら、強度を上げていって、今日まできています。現在はオリンピックを見据えて、四大陸選手権へ向け練習に励んでいます。四大陸選手権では試合の感覚をつかむということと、今できることをしっかりやるということを目標にして、試合に臨みたいと思っています。また、オリンピックという大舞台では、しっかり演技をしたいというのはあるんですけど、その大舞台に立てるということに感謝して、貴重な経験を胸に刻んで自分のベストを尽くしたいです。オリンピックが終わると世界選手権があり、体調管理が一番大事だと思っているので、自分の体調を万全にシーズン最後まで持っていけるようにしたいと思います。


△宮原

織田監督 皆さま、こんばんは。アイススケート部監督の織田信成です。宮原知子選手、オリンピック出場おめでとうございます。今は親しみを込めて『さっとん』とお呼びさせていただきますが、さっとんとの印象的なエピソードというと、数年前、さっとんの高校の卒業論文のときに、僕に話を聞きたいと言いに来てくれて、何ですかと聞くと、『オリンピックに魔物はいますか。また、その魔物ってどういうものですか』という風な質問を数年前にしてくれたことがあります。正直、僕に聞くかと思いましたけれども(笑)、その時は内心笑ってしまいましたけれども、真面目に答えまして、『魔物もいる。それもすごく大きな魔物。自分の演技がなかなかできないかもしれない。ただ、同じようにオリンピックの氷の女神もいるよ』っていう風に話したと思います。オリンピックの魔物、それがどういったものか、それに備えてしっかり練習して、準備をする。それもすごく重要なことです。それと同時に、オリンピックの女神に自分が会った時にどういう演技をしたいか、どういったことを見ている人、応援してくれている人に伝えたいか、そういったものをイメージしながらオリンピックまでの時間を過ごせると、きっとオリンピックの期待感だったり、ワクワク感が膨らむ、増していくんじゃないかなと思います。あと、今シーズンさっとんの演技を見ていると、昨シーズンに比べて一回りも二回りもすごく大きく成長したなと感じました。それは、やはり大きなけがというものを乗り越えて、さっとんの不屈の精神、そして何よりも氷に立てる喜び、またその感謝の気持ちがさらに強くなったからじゃないかな、と思います。オリンピックも全く一緒です。不屈の精神、そしてその場に立てる喜び、感謝の気持ちを持って臨めば、自ずと自分の望む演技ができると思うので、平昌、外マイナス20度らしいですけど…寒いので、体あったかくして頑張ってください。以上です。


△織田監督

濱田コーチ こんばんは。今日はお集まりいただいてありがとうございます。今こうやって横で知子のスピーチを聞き、『ああ、大人になったなぁ』とつくづく思います。以前は宮原マイクみたいな感じで、ボリュームを最大限にしないとみなさんに声を聞いてもらうことがなかった知子が、こうやって堂々と自分のあいさつ、コメントができるようになって、本当に大人になったなぁと思いました。もちろん、彼女もけがで苦しみました。よく最後まで粘っていい演技をしたと思います。ただ、その場に夢のかなわなかった選手たち、あの全日本のバックステージで私はもちろん、知子に(五輪の)切符を取ってほしいともちろん思っていたけど、その夢のかなわなかった人の分まで、その気持ちをしっかり受け止めて、さらに精進し、日本の代表として立派に試合を滑り切ってほしいと思っています。今までいろんなことがありました。私も最後まで知子をサポートして、オリンピックという大舞台に向かいたいと思います。


△濱田コーチ

【質疑応答】
ーー普段取材をさせていただいていて、宮原さんは本当にフィギュアスケートが好きなんだなと思うことが多々あるのですが、オリンピック前に改めてお伺いします。宮原さんがフィギュアスケートをやっている意味というか、何を求めてフィギュアスケートをここまで続けてこられたのか教えてください。

宮原 スケート自体はもっともっと上手になりたくて、もっと試合でいい結果を出すために今は頑張っているんですけれど、自分の演技を見てくださる方々に感動を伝えるっていうことが一番目指しているところかなと思うので、もちろん結果も大事だとは思うんですけれど、自分の滑りで感動を伝えられるような演技がしたいと思っています。

ーー濱田コーチと宮原さんにお伺いしたいのですが、卒業論文の時には多くの選手にインタビューされたと思いますが、そこからいいなと思ったことがあったら教えていただきたいです。また、濱田コーチは初めてのオリンピックだと思いますが、いろいろな大舞台も経験される中で今オリンピックにどう使っていこうとされているのか改めて教えてください。

宮原 やはりオリンピックの魔物というものは、自分で作り出してしまうものだということを沢山の選手のお話を聞いて思ったのですが、自分でも実際に試合を沢山積んできて、自分を信じることが一番だと思うので、自分で勝手に作り出してしまう不安とか、そういうものが自分の気持ちを邪魔するものじゃないかなと思っています。

濱田コーチ 私は、ちょっと水を差すかもしれませんが、知子が本当にいい演技ができるように最後までサポートしたい。それから、私は選手ではないので、この間の全日本、いい(結果だった)選手、悪い(結果だった)選手、いろんな思いをして帰ってきました。次の日、関大のアイスアリーナに教えに行きました。そうしたら、私のところで一番ちっちゃい子、6歳の子が始めて1回転半ジャンプを跳べるようになって、うれしそうで何度も何度も私の前で1日中そのジャンプを練習しているんです。私はオリンピック選手を育てるために教えてきたのではなくて、そういう子供たちが日々の練習で喜びを持つことが生き甲斐で今までコーチを35年以上続けてきたので、その姿勢は変わることはない。もちろんオリンピック代表としての知子のサポートは最後まで全力でしますが、私自身は初心に返って、1回転半の選手や小さなことを喜んで、それは貫きたいと思います。だから、オリンピックだけどいつもの、いつも通りの姿勢で臨みたいと思います。

ーー宮原選手と濱田コーチに伺います。先ほどから大きなけがを乗り越えてというお話がありますが、けがを乗り越えたことで強くなった部分、宮原選手はご自身でどう思われているか、濱田コーチは近くで見ておられてどう感じておられるかお伺いしたいです。

宮原 今シーズンはNHK杯が初戦だったんですが、すごく緊張するかなという不安があった中で、実際に試合をしてみると、滑る楽しさを改めて感じることができたので、氷に乗れなかった時間もスケートの楽しさを思い出させてくれたので、まだまだですが少しだけ強くなったかなと思います。

濱田コーチ 先ほども言いましたけれど、まず声が大きくなったっていうのが一番で、それと今までいつも受け身だったんですね、何を選択するにも。練習時間、練習のスケジュール…。素直で何でも言うことを誠実にする子でしたけれど、受け身だったのが自分からいろんな発案をするようになった。例えば、JISS(国立スポーツ科学センター)でリハビリをしている間もメールがくるんです。『今年はこの曲で滑ろうと思います』とか、『こういうコスチュームはどうでしょうか』って。きっと今まで忙しくて、勉強、練習、トレーニング…考える時間もなく毎日のスケジュールをこなしていたのが、ふとリハビリをする間、自分を見つめ直す時間ができたのかなと思って、自分の選んだ曲、自分の選んだコスチュームをすごく積極的に提案してくるようになって、もちろんシニアの試合に出ていたんですけれど、本当の意味での大人のスケーターに、一皮むけたんだなとつくづく感じました。それと、出られない、キャンセルした試合が去年、四大陸とか世界選手権も出られなかったし、アイスショーも出られない。そういうのが続いたせいで、すごく出たがりになりました。なんでも出たいとすごく積極的に、どれも出たいどれも出たいという感じで、人前に出て、何かをするということをすごく好きに、積極的にするようになりました。

――宮原選手にお伺いします。全日本でオリンピックの出場権を取られて、こういう風に思いを語る場が少しずつ増えてきていると思うのですが、その中でオリンピックへの思いとか、変化がご自分の中でありましたら教えてください。

宮原 オリンピックが決定してから気持ちは全く変わっていなくて、すごく楽しみっていう気持ちと、あとはオリンピックという舞台が実際にどういう雰囲気で、また他の試合と違って他競技の選手とも同じ生活をすることになるので、他の試合にはない経験もできると思うので、どういうものなのかなという気持ちです。

――このオリンピックは、苦楽を共にした濱田コーチと迎えるオリンピックになりますが、お隣にいて照れくさいかもしれないんですけれど改めて、濱田先生に対しての感謝の思いは、オリンピックを前にどういう気持ちかというのを教えていただけますか。

宮原 今シーズン、昨シーズン、けがを経験して、それまでは練習で毎日教えてもらうっていう形だったんですけど、リハビリをしている間はJISSでずっとトレーニングをしていたので、そういう中でも常に自分の体の状態とか、普段の様子まで、直接見られているわけではないんですけれど、ずっと見ていただいて、1人の時でも常に一緒にいるような、本当に心の支えになったので、先生がいなければ頑張ってこられなかったので、感謝だけでは伝えきれない気持ちです。

――信成さんにお聞きします。今度の四大陸選手権、宮原選手のショート、フリーのどんなところに注目すればいいでしょうか。

織田監督 四大陸選手権がオリンピック前の最後の試合になると思うので、宮原選手もそうですし、宮原選手がこれから世界で戦っていく世界の選手たちも宮原選手がどういった演技をするのか非常に注目していると思うので、オリンピック前の試合は常にいいイメージで、臨むことがすごく重要になってくると思います。ただ、宮原選手の全日本選手権の演技はグランプリシリーズのアメリカ大会から見ても、かなり調子もどんどんどんどん体の状態も上がってきていると思うので、四大陸選手権も素晴らしい演技で締めくくってくれると思いますし、その勢いでオリンピックに臨んでほしいなと思います。

――ここだけは気をつけたほうがいいというアドバイスはありますか。

織田監督 そうですね、靴紐だけはしっかり結んで、気を付けてください。

※この後行われた宮原の囲みインタビュー文字起こしは後日掲載します。