【バスケットボール】3点差で全日本インカレ逃す。井上男バス最終戦

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◇平成29年度関西学生リーグ戦チャレンジマッチ対大体大◇10月31日◇大阪市立東淀川体育館◇

【第1Q】関大20-19大体大
【第2Q】関大16-15大体大
【第3Q】関大23-24大体大
【第4Q】関大16-20大体大
【試合結果】関大75-78大体大

あと3点。コートには泣き崩れる選手たちの姿があった。涙をこらえきれない森田雄次(人3)に唇を噛んだ窪田充希(法2)。井上諒汰主将(文4)は全てを受け入れたような表情でそっと二人の肩に手を置いた。つかみかけていた全日本インカレへの切符。井上男バスの挑戦はここで幕を閉じた。

2部優勝のチームと1部5位のチームがインカレ出場を懸けて戦うチャレンジマッチ。今までにこの制度を使ってインカレ出場を決めた2部のチームは、2年前の福澤晃平(15年度卒)率いる関大のみ。リーグ戦全勝という条件が付け加えられ、それさえもクリアしたのが今年の井上率いる関大だった。

13戦全勝を達成したリーグ戦が終幕してから1日開けた夜。平日にも関わらず、大所帯のチームでスタンドの盛り上がりにも定評のある大体大に劣らないOB、OG、父兄の方々に女バス率いる生徒たち。たくさんの応援が駆け付けた。そしてスタンドのメンバー。最終戦で無念にも負傷した中谷颯吾(情2)も松葉づえで会場に駆け付け、片足で立ち続けながら選手たちを鼓舞した。

先制を奪い、リングに向かう度に大体大の圧力がかかる前半戦を切り抜けリードを保つ。雲行きが変わったのは第3Qだった。少しずつ溜まっていたファウルが選手たちの首を絞めていく。ターンオーバーとフリースローの連続失点に、3分足らずで赤に染まるファウルタワー。前半、流れを変えたいタイミングで3Pを決めた石野渉生(人3)が率先して声を出し、プレーで見せ、ここでも力を発揮するも既にファウルは4つ。窪田も相手選手と接触してからは顔をしかめ、安定していたシュートが届かなくなる。リードを許した状況のなかで、このリーグ戦でまさに「リバウンドを制する者は試合を制する」を体現してきた梶原聖大(情3)も4ファウルとなり、ベンチに下げざるを得なくなった。だが、ここで登場した関野日久(文2)がコートに入り早々に3P。もうミラクルではない。逆境で決める選手となった男はスタンドも立ち上がる程チームを勢いづける。残り10秒で足立臣哉(人2)の速攻で逆転し、59-58で最終Qへ。


△窪田


△足立


△菅原紳太郎(文1)


△関野

「3Qの悪いとこ乗り越えてリードして4Q入った」と真野新己学生コーチ(安全4)が話したものの、ついに井上にも4回目の笛が鳴る。後がなくなり一度ベンチへ。河野拓海(人2)がミドルシュートで粘るもリバウンドを取り切ることができない。5点差をつけられると、ここで、任せろと言わんばかりの表情でユニフォームの上のTシャツを脱ぎ捨て、梶原がコートイン。石野渉のアシストから点差を詰める。井上もコートに戻って来たが、残り3分、石野渉に5ファウルの表示か掲げられた。コートの上では喜び以外の感情を表に出さない石野渉がボールを叩きつけようとする程、悔しさを滲ませた。しかし、思い留まりそっと床に置くと、拍手を浴びながら静かにベンチへ戻り、後をメンバーに託す。


△石野渉


△河野


△宮尾和輝(人4)左から2人目

ほぼ交代なしでゲームメイクをしてきた森田が速攻、意地のバスケットカウントを奪う。だが、フリースロー1本を決めきることができない。4ファウルから手が出せない梶原の横を相手がレイアップですり抜け、残り45秒で6点差。負傷した主力選手の復帰にさらに盛り上がる大体大の声が降りかかる中でも「口はずっと動いてた。ずっと手も叩いてた」(尾﨑ヘッドコーチ)。指示がもう聞こえない状況でも井上を中心に声を掛け合う。それでも「絶対諦めへんからな」(関野)。その言葉はしっかりと響いた。残り8秒で取ったタイムアウトが開け、スコアボードは72-78。あと6秒。井上が3Pラインから放ったボールがリングを抜ける。3点差に詰め寄った。だが、あと一歩が届かなかった。相手選手が天高く投げ上げたボール。落ちてきたところを関野が食らいつきバックコートから放つも、ボードに跳ね返った頃には大歓声が鳴り響いていた。


△森田


△梶原


△井上

「最後にしないように頑張るわ」。試合中どんなにベンチで選手たちが盛り上がっても淡々と仕事をこなし、時には共に笑顔を見せながらも10秒のカウントダウンは忘れない。そんな小林真子(まさこ=政策4)主務に前日、井上が掛けた言葉。その通りにはならなかったが、「やり終えた達成感でいっぱい」(小林)と、涙をこらえながら4年間を振り返った。「3年かけて井上が関大の風土を変えてくれた」(尾﨑ヘッドコーチ)。1部、2部を繰り返した激動の4年間を終え、「すがすがしい気持ち」と言いながらも目を赤くさせた井上主将がこのチームを作り上げていった。「全勝してインカレ行かなきゃいけないプレッシャーの中でその肩のものが全部降りた」(井上主将)。はにかみながらもそんな言葉を残すほど、背負い続けた最後の1年間。2部にもかかわらずとは言いたくないほどの強さが、このチームにはあった。来年は1部の舞台。あと一本のシュート、あと一本のリバウンド。史上最高のキャプテンの思いを受け継ぎ1年後、東京の地で、きっと笑顔の花を咲かせてくれる。【文:谷満梨奈/写真:宮西美紅、奥井健太、中谷開、谷満梨奈】

▼尾﨑ヘッドコーチ
「悔しいですね。4年生には申し訳ないけど、よくやったとは言いたくないし、4年生にはよくやったと言いたいけど。井上っていうキャプテンが作ったチームが負けて、もう一回1からという表現は絶対できないし、3年前から自分がコーチになった時に、関大の風土を変えようって。もちろん今までの関大も良かったけど。2年前のインカレ出場を決めたときで変わったし、去年も2部に落ちてしまったけど今年は勝てるチームの練習をやり続けて、やっと土が変わったような気がする。3年かけて井上が関大の風土を変えてくれた。彼にはありがとうって言いたいし、下級生には諒汰の真似は決してしてほしくないし、諒汰の真似じゃなくて、諒汰が作ったチームの上に自分らのチームの色を重ねていけるようにやって欲しいなって思います。後半の初め、よくファウルになって、主力がベンチにいなきゃいけない時間帯が多くて、それでも、バスケットって、後半はディフェンスが向こうのベンチの近くで、今日みたいな試合だとこっちがなんぼ言っても何も伝わらない。あいつらの声も聞こえないし。でも口はずっと動いてた。ずっと手も叩いてた。主力が抜けてもシュート入らなくても我慢して我慢して我慢して、最後分からない展開になった。それは彼らにしかできないこと。関大のバスケットを3年かけて井上が作った。今日の試合はそれを象徴するものだったし、もちろん納得はいってないと思うけど、これを糧に上乗せしてやって行きたいなって。(試合前の井上主将は)だいぶ怖かったんやと思います。このチームでもっとバスケットしたいし、インカレも行きたいし、いろんな思いがあって。ギリギリまで変な顔してたけど、コート入った瞬間変わったんで、頼れるなって。来年森田が引っ張っていくんで、井上とは違うタイプやけど、信頼してるんで。もう一回、彼と一緒に今のチームでプラスαでのせていきたいなって思います。(この1年間は)楽しかった。アクシデントによるケガが多くて。けどその度に強くなって、どんどん違う顔が見れたし、どんどん違う姿が見えたし、発言、練習態度、毎日良くなっていった。ほんとに楽しかった」

▼井上主将
「まずはこの1年間この日に勝ってインカレに行くこと。そしてインカレで2年前にできなかった勝利っていうのを手にしてベスト16に入ることを目標にしてやって来て、結果は出なかったですけど、僕が先頭に立ってチームの風土を変えてほんとに厳しく何人も部員も辞めていったし、厳しい環境の中でも今いる部員たちは最後まで付いてきてくれて、最後に1部相手にあんなたくさんの人の応援と最後までボールを追って最後まであきらめずに戦い切れたっていうことは誇りだと思うし、結果が出なかったっていうことにすべてを支配されたくないので。自信を持ちたい。すがすがしい気持ちです。1年間の中できっとどこか体大には3点分足りない何かがあって、それがもしかしたら僕自身の個人的なシュートがあと一本、3Pがあと一本入っていれば。もしかしたらもっとBチームのところに行って同じ熱量でやってあげればもっとチームとして一つになれたのかもしれない。そういう気持ち。全勝してインカレ行かなきゃいけないプレッシャーの中でその肩のものが全部降りた。(ベンチメンバーでは4年生が一人のことが多かったことについて)後輩たちがどんな時も同じ思いで全勝優勝でインカレベスト16を目指してくれてたし、もちろん同期は特別な存在で、一声かけてもらえるだけで立ち直れるし、一言言われたことが心に残って反省したりだとか、そういう特別な存在ではあるけど、後輩とか分けて考えてはいないので、同じ熱い思いで戦ってきた同士がベンチにたくさんいるので同期が一人だとか思ったことはないです。(この試合の前は)下級生は全勝してどんどん自信もつけてどんどんいいプレーするようになったし、気持ち的にも勢いで行けるだろうって思ってる下級生は多かったし、それは下級生として良いと思ったし、上級生の僕とか梶原とか、森田とか、石野(渉)とか厳しい場所を知っている。でも今日の試合中とか昨日の練習も緊張感をもって2部とは全然違う厳しい戦いが始まるという空気を作って準備に関しては完璧にできていた。(大学入学当時はインカレで関東のチームに勝つことが目標だったことについて)入るときに思っていたし、実際悔しい思いをした相手チームのキャプテンは関東で優勝してインカレの準備をしてると思うんですけど、今終わってみて、リーグ戦を戦ってく中で個人的なものはどうでもよくて、このチームでインカレに行きたい、インカレで1勝したいっていうシンプルな、それだけで。とにかく今はこのチームでもっとバスケットがしたい気持ちです。(後輩に向けて)言うことはない、常に練習中と試合で伝えたいことは伝えてきた。ただ1年間キャプテンをやったっていうだけでそんなたいそうな人間でもないので。後輩たちがまた新しい目標を決めてそれに向かって、熱く、最後にどうやったら結果が残るのかっていうのを1年間チームで、個人で自問自答してもっと上を目指して、インカレベスト8常連くらい関西随一のチームになれるように頑張ってほしい。(1年間主将をして)しんどかったです。しんどかったけど最後の最後にリーグ戦を通じてこの思いを自分だけが背負ってるわけじゃないんだってことに何度も気づかせてくれたし、ほんとに頼もしい後輩だったなって心から思います。ほんとにこの4年間満足しています。次のステージに向けてチーム練習とかにも参加して僕は僕でプロになって活躍できるようにするし、チームとしては新人戦でまたすぐに練習開始すると思うんでお互いにまだまだ成長できるように頑張りたいと思います」

▼小林真子主務
「インカレ行きたかったなってのが1番だけど、4年間チームでやって来れて、辛いこともいっぱいあったけど、やり終えた達成感でいっぱいです。(この学年でマネージャーが一人というのは)他の学年で相方っていえる存在がいるのはすごい羨ましかったし、でも入った時から一人だからやるしかないって。(ベンチメンバーも4年生が少なかったのは)バスケットは実力主義。学年関係なく、強い人が入るから。(この試合の前に主将と話したことは)主務会の時に、諒汰は練習行っていいよって言ったときに、最後にしないように頑張るわって言われたけど、それは残念ながら。あいつがインカレ行きたいって誰よりも思ってた。(ベンチではどのような想いで)バスケは最後の1秒まで分からんから、最後まであきらめたくないなって。試合を見たいって気持ちもあるけど、完全にそっちに集中してしまったらだめだから我慢しようってサポートに徹していました。全関とかずっと7位だったのが5位まで行けたりとか、大会ごとの目標とか達成できなかったものもあったけど、去年より一昨年より良くなってるなって感じれた1年でした。引退したくないなってのが一番強くて。もうちょっとこのチームで一緒に東京でやりたいなって。(後輩に向けて)ほんまにしんどいこといっぱいあるけど、やっぱりそれはチームが勝つことでしか報われへんから、それを信じて頑張って欲しいと思います」

▼真野学生コーチ
「ほんとに実感がないので普通に明日も練習があるような感じです。学生コーチとして後輩に慕ってもらってコート入れて試合に関われたことが幸せ。負ける気は全くなかった。3Qの悪いとこ乗り越えてリードして4Q入ったし自分たちのペースでバスケット出来てたし、負ける気はしなかった。あと3点分体大が強い気持ちとか技術的なとこすべて3点分上やったから負けた。一生懸命全力出してやった結果、体大が3点分上やった。(4年間は)最高でした。普段からけっこう言ってるんできついことも。自分たちの目標に向けて妥協せずに支え合って最高の結果を出せるチームになって欲しい」