【柔道】4年生引退試合、代表戦突入のクロスゲーム

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◇平成29年度全日本学生体重別団体優勝大会◇10月28日◇ベイコム総合体育館◇

[1回戦]関大4-1徳山大
先鋒 ○澤井―梶村 (男子100㌔超級)
次鋒 ×小寺―櫻井慎 (男子90㌔級)
五将 ●岡本―安達 (男子60㌔級)
中堅 ○山本―筒井 (男子81㌔級)
三将 ○出村―松田 (男子73㌔級)
副将 ○仲田―阿河 (男子66㌔級)
大将 ×村井―並里 (男子100㌔級)

[2回戦]関大1―1早大
先鋒 ×澤井―空
次鋒 ×小寺―齋藤
五将 ×岡本―加藤
中堅 ×山本―下田
三将 ●出村―佐藤
副将 ○仲田―(不戦勝)
大将 ×荒木―田中

代表戦 ●山本―下田

一瞬たりとも気は抜けない。チーム全員の思いが、第4試合場には注がれていた。先鋒から大将までの7人全員が試合を終え、1-1。内容でも両者が並ぶ。チームの勝敗は時間無制限の代表戦にゆだねられた。山城正記監督がくじを引く。抽選の結果81㌔級に決まると、山本哲也(文4)は奮い立った。「決めに行く」。

関大のゲームプランはこうだった。先鋒の澤井亮一(社3)と次鋒の小寺達(人4)、大将の荒木佳祐(人3)の3人でポイントを取る。早大が副将の66㌔級に選手をエントリーさせていないことも含めれば、4本取って勝てる。しかし、勝負の世界は分からないもの。先陣を切った澤井は相手よりも優位に立ち指導を二つ与えたが、何度もかけた技は決めきれなかった。小寺も「安パイな結果になってしまった」と引き分け。早大に先制パンチを食らわすことができない。


△澤井


△小寺

厳しい戦況になると見込んでいた、五将・岡本康平(政策1)の60㌔級。しぶとく寝技を狙い、相手の体を回そうと試みる。惜しい部分は岡本の方が多く、結果はドローと健闘した。続く中堅の山本は、高い集中力を発揮。仕掛けてくる下田をうまくいなし、しっかりした受け身でポイントを奪わせない。途中、ひざから畳に落ちて足を気にするそぶりを見せたが、なんとか引き分けにした。


△岡本


△山本

負けも覚悟していた中盤2人で持ちこたえ、少し優勢かと思われた後半戦。出村勝輝(法4)は「ビビっていた部分もあった」。抑え込まれると、体を抜くことができずに一本負けを喫する。続く仲田宗平(文3)は不戦勝。互いに譲らぬ展開で大将まで回った。


△出村

雨の日はうずく右ひざを抱えながらも、荒木は何度も投げる動作に入る。その度に応援席が沸いた。だが、「途中でひざがロッキング」すると流れは一変。攻める姿勢は影を潜め、決着はつかなかった。


△荒木

代表戦は本戦で引き分けとなった5階級での抽選となる。だが、「来るなって感じがしていて、試合が終わった後も心の準備はしていた」と山本。今までにない闘争心を燃やし、畳へ向かった。

昨年の同大会、1回戦の岡山商科大戦。2-1、関大リードで大将の山本に出番が回った。有効を取られたとしても内容差で関大の勝利が決まる。そんな一戦で、まさかの一本負け。「あれが悔しくて苦手な寝技だったりを練習した」(山本)。その敗戦を機に一層稽古に身が入り、監督が1年間で1番成長した選手だと名前を挙げるほどになった。

そして、場面は代表戦。山本は先ほどの本戦よりも目の色を変え、下田にかかった。苦手とする寝技中心に攻める相手に対し、得意の立ち技で応戦。完全に主導権を握り、ポイントを奪うまであと一押しまで来ていた。攻めて攻めて試合場の端まで追い込む。だが、そこで下田の返し技。無情にも山本の背中が畳につく。主審が技ありを告げ、4年生最後の大会は幕を閉じた。


△山本

今回の全日本学生体重別団体優勝大会はいつもと様子が違った。「今年の4年生は引退を延ばした」(山城監督)。例年、この大会にメンバーとして選ばれなかった4年生は、9月の関西学生体重別選手権大会で引退を迎えている。しかし、今年は全員がこの日まで引退を遅らせた。理由は二つ。同期の頑張りを最後まで見届けることと、後輩にしっかり練習を付けること。結果的には狙い以上の効果があり、村井慎太郎主将(法4)も「全員で一つになること」につながったと語る。

文字通り部員全員の声援を受け、戦った14人。しかし、残念ながら大会2日目には進めず、4年生はとうとう引退の時を迎えてしまった。

1年間チームを引っ張り続けた村井主将。個人では全日本インカレでベスト4を目標にしていたが、出場権すら得られない悔しいシーズンとなった。だが本人は「自分自身納得していないことはない。1年間駆け抜けられた」ときっぱり。やり切った表情で会場を後にした。


△村井

村井と共に幹部としてチームを率いた副将の小寺と山本は、4年間を「楽しかった」と振り返る。主務の白須晴信(文4)は選手として今大会に参加できなかったことを悔やみながらも、「最高の仲間と一緒に柔道が出来て良かった」と口にした。

1回戦で完璧な内股を披露した出村。わずか30秒の快勝劇に「思い切ってかけたら、うまくかかった」と白い歯を見せる。大学で柔道を続けたのは友人に誘われたからだと言うが、最後まで主力として試合に出場し、「いい経験になった」。


△出村

81㌔級に登録していた門阪将吾(法4)。この大会で出場することは叶わず、関大サイドの応援席から冷静に戦況を見守っていた。だがそんな冷静な男も、最後は柔道に対する情熱が溢れる。「攻めている姿勢などを見てくれている後輩がいたらいいな」といつも試合に臨んでいたという。その代わりに自身で発信できなかったことが反省点。「真面目な子たちが言えるようになれば、チームはもっと良くなる」と次の世代に思いを伝える。

これら4年生の思いを引き継ぐ下級生たち。新主将には荒木を据えることになった。「一人ひとりが目標をもって、その目標を全員が達成できればチームの底上げにつながる」と荒木。各個人のレベルアップで、4年生の引退による戦力ダウンの懸念払しょくを試みる。だがそれ以上に、「各々がやるべきことを考えて、この日を迎えられた」(山城監督)と、20人の最上級生が最後の最後まで柔道部に残し続けた財産がある。この財産を礎にすれば、天理大に「決めに行く」。そんな強い関大の姿が春には見られるような予感がした。【文:谷風花/写真:永津星斗】

▼山城監督
「(早大戦は)相手に二つ指導が入っていて有利だったのに澤井と荒木が勝てなかった。本戦で岡本と山本が引き分けにしていたのは良かった。山本は試合中にひざを痛めてしまった。だから(代表戦は)厳しいかなと。(抽選のくじを)選ぶ時も、どっちにしようかなと迷ってしまって。今考えれば監督の自分が、あそこで迷って甘さが出てしまった。今年の4年生は引退を延ばした。全員でやろうと言って、試合に出られなかった4年生、松井(洋人=情4)と白須、小谷(竜也=法4)が岡本の練習相手になってくれて。各々がやるべきことを考えて、この日を迎えられた。チームは一つになれたかなと思う。(徳山大戦の)出村は負けを覚悟していた。でも開始早々に一本、出村の内股は切れるし初見の相手にはよく効くから、うまくはまったという感じ。山本は相手が相打つだった。それでも得意の大外刈りが決まった。今まで技を出した後に体が逃げていたのが、真後ろにつけることができていて、ようやく成長が見えた。今日は集中力が切れることもなく、意地を見せてくれた。1回戦のオーダーで言えば、7人中4人が4年生。来年は大きくメンバーが変わる。戦力は落ちるので、3年生以下は頑張っていかないといけないし、全員がしっかりとレベルアップする必要がある。とはいえ、今日の試合の内容は悪くなかった。よく頑張った」

▼村井主将
「内容は悪くなかった。ただ、来年に向けて東海と対戦できなかったのは悔しかった。(引退を延ばした理由は)同級生が頑張っているのに先に引退するのはどうなのかなというのと、10月末までは1、2、3年にしっかり練習を付けてあげようという思いがあった。最初はいやいやの人もいたけど、おかげで全員で一つになることができた。主将としては、最初のうちはどうしたらいいか分からなかった。でも、1~3年生が4年生を信頼してくれていた。試合でも澤井や荒木が勝てるようになった。今までなら結果が出るまで分からなかったが、取るべきところで取れるようになってくれた。1年間の個人の成績としては、全国に出られなかったし団体もあまり活躍はできなかった。でも、自分自身納得していないことはない。1年間駆け抜けられたと思う。1、2年の頃は思うような練習ができず、ふがいなかった。3、4年になってからは後輩の面倒を見るようになって、とくに精神的に成長できた。澤井、荒木中心に今年よりもいい成績を残してもらえたら」

▼白須主務
「悔しい。向こうが1枚上手だった。ほかの部活では主務は主務となっているかもしれないけど、自分は選手兼主務。そういう意味では、今日の試合に出れる可能性もあったわけだから悔しい。下の代や上の代と比べても、自分たちは倍くらいの20人いる。今日の試合もメンバー以外が引退すれば15人抜けてしまうことになる。結局みんな最後までいい雰囲気で取り組めた。4年間を振り返っても、最高の仲間と一緒に柔道が出来て良かった。新チームは、やらないといけないことはちゃんとやっていかないといけない。でも、自分たちとは違う形で、結果を出してくれると思う」

▼門阪
「試合に出ていないから難しいけど、どうなれば良かったかと言われれば全部が勝てていればと思う。ただ、自分がどうにかしたくても、どうしようもできない立場だったのが一番悔しい。(4年生全員が10月末まで引退を延ばしたことについて)練習の人数がやっぱり違った。いやいや出てきた4年生もいたけど、試合に出るメンバーだけだと寂しいし、感じが違った。自分は人前でワッと言えるタイプじゃない。試合で攻めている姿勢などを見てくれている後輩がいたらいいなと思っていた。自分からもっと発信できていれば良かったな、と今は思う。81㌔級は山本が一緒だったから、場所が悪いというか。(9月の関西体重別選手権大会で)あと一つ勝っていれば全国だった。本当にあと一つ越えていれば。そこが最後まで越えられなかった。(4年間は)いろいろありすぎて。でも就職活動をして思ったのは、柔道は礼儀の面で本当にためになったということ。数ある部活の中で柔道はとくに礼儀が大事だし、監督がそういうところを特に指導してくれた。報連相だったりもよく言われたし、ためになっていると実感している。自分たちの代は強い人たちが気分屋が多いこともあって、なかなか真面目にできないこともあった。もっと真面目な子たちが言えるようになれば、チームはもっと良くなる」

▼小寺
「取らないといけないところで取れなかった。引き分けという安パイな結果になってしまった。自分がとっていたら流れが変わっていたと思う。全体の内容は悪くなかった。でも、自分や澤井、荒木のところでポイントを取らない。そこが勝敗につながった。この1年間、副将らしいことはしていなかったけど楽しくやれたと思う。4年間振り返ってもいい感じに自分のしたいようにやらせてもらえた。山城監督には迷惑をかけたけど、楽しい4年間だった。来年は真面目なやつが多い。荒木がキャプテンで、澤井が副キャプテン。練習もしっかりやると思う。自分たちよりも結果を出してくれると思っている、期待したい」

▼出村
「(早大の佐藤は)勝てる相手だった。しのげなくて自分が負けてしまって、チームをベスト16まで残せなかった。正直差は感じた。相手が強いということも分かっていたから、ビビっていた部分もあった。でも、もう1回やってみたい気持ちがある。(1回戦の内股は)研究されたら効かない。でも技がバレていない分思い切ってかけたら、うまくかかった。(4年間振り返って)もともと大学で柔道を続けるつもりはなかったけど、友だちに誘ってもらった。2年生から少しずつ試合に出してもらえるようになって、4年生でもここまで長く柔道が出来て良かった。いい経験になった。試合に関してはいい結果を目指して頑張ってほしい。でも気負わずにあの子たちのペースでやってもらえればと思う」

▼山本
「(代表戦は)来るなって感じがしていて、試合が終わった後も心の準備はしていた。いざ自分になったときも、決めに行く気しかなかった。先に自分から攻めていこうと思っていた。相手は寝技が強くて、狙ってきているのも分かった。そこはちゃんとしのげたけど、最後畳の際まで来たから安心したというか、集中力のなさが出てしまって返された。今日チームとしての状態は良かった。1回戦中四国の優勝チームに4-1で勝てて、早稲田に向けていい流れを持ってこれた。みんな2回戦に挑む気持ちもできていた。でも結果負けてしまったのは、シンプルに悔しい。3回戦で東海とやるのが目標だったし、そこまで行きたかった。去年のこの大会、自分が引き分けなら勝てたのに負けてしまって、チームも1回戦敗退になった。あれが悔しくて苦手な寝技だったりを練習した。試合内容は3年の頃より良くなったし、試合の仕方がわかるようになった。4年間を振り返るとあっという間。これからはこんなに緊張する場面も勝負する機会もない。社会に出るまでに大事なことを学べたし、いい経験になった。しんどいことも多かったけど、それ以上に楽しい4年間だったなと思う。関大は団体が弱いと言われている。でもそんなことはなくなってきている。チャンスをしっかりつかめば、ベスト8にも上がれる。練習とプライベートのメリハリが大事だと思うし、そこをしっかりやってほしい」

▼荒木
「取らないといけない人たちが取れなかった。あと大将で取り切れなかったのが敗因。公式戦では初めて当たって、最初はいけると思った。でも途中でひざがロッキングして流れが変わったかなと。そこで取り切れなかった。自分としては、4回生の足手まといにならないようにと思っていたけど、最終的にはなってしまったかもしれない。(新チームに向けて)あまり幹部同士で濃い話は出来ていない。でも、一人ひとりが目標をもって、その目標を全員が達成できればチームの底上げにつながると思っている。今回は2回戦敗退だったけど、1年後ポイントゲッターが取れるように、新しくメンバーに入ってくる子たちはきっちり引き分けにできるように。関大はそういう勝ち方しかできないと思うから、その形に向けて頑張っていく」