【コラム】竹下玲王、関大サッカー部を背負う男

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■竹下玲王(社4)のJ3・AC長野パルセイロ来季加入内定が発表されました。今年はエースとして、主将として関大サッカー部を背負う男のサッカー人生を追いました。


■ジュビロ磐田ユース時代 鈴木秀人監督から学んだこと

小中高ジュビロ磐田の下部組織に所属。ユース1年目は出場機会に恵まれなかったが、高校2年時に就任した鈴木秀人監督との出会いを機に竹下は成長を遂げた。鈴木氏は元日本代表DFで、現在はジュビロ磐田のコーチを務めている。「一番言われたのは『意識高く練習しろ』。負けず嫌いな性格は良いから、意識高く練習すれば伸びるからって」

ボールの受け方など技術面も多くのことを教わり、現在のプレーのベースとなっている。同学年のFW中野誠也(筑波大)とツートップを組み、高円宮杯U-18サッカーリーグ プリンスリーグ東海3連覇に貢献。しかし、トップチームには上がれず、遠く離れた関西の地で新たな世界に飛び込んだ。

■「人として弱かった」

関大進学後は2年生からエースナンバー「17」を背負う。しかし、決して順風満帆ではなかった。1、2年生の頃は結果が数字に表れず、試合中は感情を表に出してしまい、練習中も「甘えるな」と怒られる日々。

「人として弱かった」
そんな竹下に変化が訪れたのは、2年生の9月。

「練習で2個上の篠くん(篠原宏仁=現・藤枝MYFC)に『お前ちゃんとやれよ』って言われて喧嘩になった。その頃黛也くん(前川黛也=現・ヴィッセル神戸)が自主練してるのも見て、自分は何をやってるんだろうって。17番背負ってるのに情けなさすぎる」

「一喜一憂しない」。そう心に決めた。この頃からプレー面だけでなく精神面も成長していった。

■家族の前で見せた特別なゴール

結果に表れ始めたのは、3年生の夏だった。

2016年8月27日。清水エスパルスのホーム・IAIスタジアム日本平(静岡)で行われた天皇杯1回戦。オレンジ一色のスタジアムには3000人を超える清水サポーターが詰め寄せ、スタンドには竹下の家族や親戚の姿もあった。

1ー2で敗れたが、同点弾を決めたのは竹下。FW加賀山泰毅(人3)のカウンターからパスに抜け出しゴール左に突き刺すと、真っ先に家族のいるスタンドに向かった。


▲大健闘を見せた選手たちに拍手が送られた

「1、2年の全然試合に出ていない時もわざわざ観に来てくれて、『頑張れ』って言ってくれた。やっと親孝行できた」

関大としても、個人としても特別なゴールだった。この試合を期にエースは目を覚ます。前期リーグの2得点に対し後期は9得点をマークし、チームは4位で2年ぶりにインカレの舞台に立った。

■インカレベスト8敗退、涙の理由

インカレ初戦は竹下の2ゴールで逆転勝ちを収めると、次の2回戦も逆転勝ち。2試合連続の劇的勝利に大阪からバスで駆け付けた大応援団も大盛り上がりだった。しかし、後にインカレを制す筑波大が立ちはだかる。

ジュビロユース対決としても注目が集まったこの一戦。スコアレスの試合展開となるが、後半37分と42分に立て続けに失点を許す。勝利が遠のく2点目は悔しくも中野誠也の得点だった。竹下もアディショナルタイムに意地の1点を押し込んだが、反撃はもう遅かった。

私は現地へ取材に行っていないが、試合後の写真を見た時、誰よりも泣いている竹下の姿が印象的だった。


▲石井光輝前主将の胸にうずくまる

「試合が終わった瞬間は全然泣いてなかった。整列して誠也と握手して、最後誠也の顔見たら悔しすぎて。一喜一憂しないって決めてたけど、泣いてしまった」


▲スタンドも涙に包まれた

この時ばかりは、悔し涙をこらえ切れなかった。ベスト8敗退。日本一には届かず、2016年シーズンは幕を閉じた―。

■チームも個人も苦しんだ前期

エースで主将。今年は200人を超える関大サッカー部の顔になった。昨年に引き続き「全員サッカーで日本一」を掲げ新チームは始動するが、前期は苦しんだ。リーグ戦は関学大、大体大など上位陣に大敗し、昨年優勝した関西学生選手権大会も準決勝で阪南大に1-3で敗れた。

9月の総理大臣杯1回戦では竹下に悲劇が襲う。前半に相手選手との交錯で左肩を脱臼し、負傷交代を余儀なくされた。肩鎖関節脱臼で全治4ヶ月と診断され、インカレ出場を決めても復帰が間に合うかは分からない。

「けがした瞬間は本当にショックだった。4年間今までやってきたのにとは思ったけど、前向きにやるしかない」

■全員サッカーで日本一

エース不在で迎えた後期リーグ。桃山大との開幕戦でゴールを決めたMF塩谷仁(人3)は試合後のインタビューでこう話した。

「キャプテンをインカレに連れて行きたい」

インカレ出場を決め、再び全国の舞台に立つ姿を多くの人が待っている。チームは15日の関関戦に勝利し、リーグ2位に浮上した。「全員サッカーで日本一」という目標は着実に近づいている。

「色んなカテゴリーがあって、こんなに人がいるのに高いレベルで取り組めているのは関大だけ。それを証明するためにもTOPがインカレに出て、日本一になることが必要。他のカテゴリーのみんなの思いも背負って、インカレ優勝を成し遂げたい」

12月24日

歓喜の輪の中心に竹下がいることを信じている。