【ソフトボール】ソフトボールの神様に愛され全日本インカレへ!

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◇チャレンジマッチ第3試合対立命大◇7月16日◇園田女子大学第1グラウンド◇

関 大 202 200 113=11
立命大 101 050 011=9

(関)杉本、萩森、平木、杉本―江口

ソフトボールの神様は関大に味方した。6-7と1点ビハインドで迎えた7回表1死走者なし。打席には5番江口実里(人4)が入る。決して楽な場面ではない。だが、ベンチからは悲壮な雰囲気は感じられなかった。むしろ、平常心。いつもと同じくソフトボールを楽しむ関大らしさがある。勝負はカウント0-1からの2球目だった。「完璧」にとらえた。打球は一直線にぐんぐん伸びて行く。歓声が後押しする。ボールはそのままレフトフェンスの向こうへと吸い込まれた。少しばかりの静寂の後、一塁ベンチから一斉に選手たちが飛び出しお祭り騒ぎに。全員で江口を向か入れえると、主将の安平泉(人4)は熱いものをこらえることができなかった。「江口さまさま」。土壇場での一撃は関大に勢いをつけた。

その裏の守りを6回から登板の平木琴実(人3)が無失点で切り抜けると、8回からは無死二塁で始まるタイブレーカー方式の延長戦に突入する。8回表に9番田平優佳(人1)のタイムリーで勝ち越しに成功した関大だが、立命大も簡単には引き下がらない。再び試合を振り出しに戻され、9回の攻防を迎えた。

9回表の攻撃は3番杉田裕子(人4)から。この日絶好調だった杉田はしっかりと犠打を決め仕事人に徹する。1死三塁と場面は変わり、打席には4番の安平だ。前の打席は7回の先頭打者だったが、二飛に倒れ「これが人生最後の打席だったら…」と一瞬頭をよぎった。だが、後を打つ副将の起死回生の一発によりもう一度チャンスは巡ってきた。4年間苦楽を共にした仲間は結果を出した。「打てる」。迷いを捨てた。カウントは江口と同じ0-1からの2球目だった。思い切り振り抜くと、打球はライナーで左翼手の頭を越えた。三塁走者の佐伯瞳(社2)が悠々と生還する。二塁ベースに到達した安平は満面の笑みを浮かべ、ベンチに向かって何度も右の拳を高々と突き上げた。

その後も勢いは止まらず、6番辻楓(人1)の中前適時打などでさらに2点を追加。3点のリードを持って裏の守りに就いた。

だが、1死後2つの四球で満塁のピンチに。ここで関大にアクシデントが襲う。8回から再びマウンドを託されていた杉本樹菜(人2)がタイムを要求。選手が円をなす中、杉本は「今までにない緊張感」で打者と向き合えないほどに追い詰められた。騒然とし張りつめた空気がその場を支配した。しかし、グラウンド上の選手は心配するとともに関大らしく笑顔で左腕を勇気づける。仲間のいつも通りの表情に杉本は覚悟を決めた。「ここでやらないといけない」。闘争心を取り戻すと、立命大打線と再び対峙した。5番打者には犠飛を打たれるが、これで2死に。2点差に詰め寄られるが、待ち焦がれた瞬間は直後に訪れた。杉本の最後の力を振り絞り投じたボールにバットは鈍い音を立てる。力ないゴロが遊撃手・山元麻莉絵(人3)の前に転がった。内野の要はしっかりと捕球すると、丁寧なスローイングで一塁の安平へ転送する。黄色球は主将のミットに収まった。「アウト!」一塁審判の声が響き渡る。死闘に幕が降ろされ、安平はほっとした表情を見せた。すると、全員がマウンドへと集まった。人差し指を天に突き立て歓喜の輪。ではなく、緊張感から解き放たれ大粒の涙を流す杉本のもとへと歩み寄り、敢闘をたたえ肩を貸す。最後まで相手をリスペクトし、仲間を大事に思う関大らしさがそこにはあった。

同大が全日本インカレを棄権し関西枠に1つ空白が生まれたため、関大、立命大、大体大の総当たりで開催されたチャレンジマッチ。第2試合で大体大に勝利した関大は、同じく大体大に勝ちを収めている立命大との天王山だった。試合は序盤から大きく動く。初回、関大は1番山元の中前打を皮切りに3番杉田のタイムリー内野安打などで2点を先制した。その後も杉田の一発などで関大が有利に試合を進めるが、5回裏に逆転を許すと、追いつけないまま最終回を迎える。しかし、誰一人として負ける気はしていなかった。

この1年間で数え切れないほどのストーリーをつむいできた関大のドラマ。西日本インカレで最終回のはずだったが、まさかのスペシャルが待ち受けていた。「今までで一番楽しかった」と安平。転がり込んできた千載一遇のチャンスを楽しみながらエピソードの一部にした。これで、目標であった全日本インカレ出場を決め、本当のラストは広島の地で迎えることに。「誰も欠けてはいけない」(安平)。9月1日に開演する最終章を快宴にするため。「釈迦力」は27人全員が主役だ。【文:嶋健太朗/写真:嶋健太朗、松山奈央】

▼安平主将
「今までで1番楽しかった。苦しかったけど、江口さまさまです。みんなの力。きょうはソフトボールの神様がついていた。すべてが味方してくれた。杉本がよく頑張った。ピッチャーみんな頑張った。(9回の勝ち越し打については)打てる気がした。前の打席が二飛で、人生最後の打席がセカンドフライで終わったら嫌だと思っていた。目標が達成できてよかった。苦しくても楽しむ関大らしさが出た。全員が活躍した。誰も欠けてはいけない。(全日本インカレは)出し切ってやり切りたい」

▼江口
「本当に落ち着かない。すごい試合だった。(ホームランについては)完璧。打った瞬間に行ったと思って手を上げた。諦めずに全員でやれた。ベンチからも全員が盛り上げてくれて打たなとあかんなと思った。ピッチャーは前回のチャレンジマッチから投げ込みを重ねて体力がついていたと思う。3年ぶりの全日本インカレ。3年前は初戦敗退だった。少しでも多く勝って関大の名前を広めたい」

▼杉田
「こんなチャンスは絶対にないと思っていた。信じられない。打席の中で調子がよかった。吉末監督から『ホームランを狙え、行け』のサインが出たので、思い切り狙った。どんなに負けていても大丈夫やなって思っていた。立命大も押せ押せで来ていたけど、押されている感じはなかった。何点取られても何点でも取れる気がしていた。(全日本インカレは)個人的には1本打ちたい。簡単にはいかないと思うけど、関大らしさを持ってチャレンジャーとして戦いたい」

▼山元
「1試合目の試合が精神的にしんどくて、2試合目も時間もなく始まった。最終的には気持ちの勝負になるとは思っていた。全員がその気持ちを持って戦ってこの結果になった。初めての全日本インカレ。インカレに行くことを目標にやってきて達成できたので、チャンスをものにしたい。この時のためにバットを振ってきたし、ノックも受けてきた。関大は全国ではそこまで名を知られていないので、注目してもらえるようにしたい。常連校の中でも、オッと思われるようにのびのびと全力でやりたい」

▼平木
「抑えたら打ってくれると思って、自分は自分の与えられた仕事をこなそうと思った。後輩2人がしっかりと投げてくれていたので、先輩の意地というか気持ちを持ってマウンドに上がった。インカレを目標にやってきて、勝った瞬間はいろんな人に『ありがとうございます』と感じた。初のインカレで相手は強豪ばかりだが、スピードで押せればそれなりのピッチングができる自信がある。なので、コントロールを磨いて思い切り振らせて空振りを取れるようにしたい」

▼杉本
「(最終回は)緊張で体が落ち着かなかった。今までにない緊張感でしんどかった。みんなが打ってくれて守ってくれた。全員に感謝したい。ここでやらないといけないと思って頑張った。全日本インカレではチームも見ている人も安心して信用してもらえるように投げて勝ちたい」

▼辻
「個人的には調子は悪くなかった。けがをしていて、ブランクの中でいろいろと考えられた。頭の中で考えられたことが試合につながった。全日本インカレは出ることよりも結果を出すことの方が重要。出て何ができるかが見られる。チームとしても個人としても結果を出して、もっと上を狙えるようにしていきたい」